映像作品の「非本編コンテンツ」デジタルアーカイブ構築
株式会社つみきは、映画レビューサービス「Filmarks」アプリ上で、2025年7月から2026年1月にかけて、映像作品の予告編動画など「非本編コンテンツ」のデジタルアーカイブを構築・検証する実証実験を実施しました。
本プロジェクトは、複数のコンテンツ提供元から非本編コンテンツを収集・登録し、Filmarksアプリ上に掲載することで、作品の魅力伝達力の向上とユーザーの鑑賞動機形成への貢献を実証することを目的としています。

プロジェクトの概要
システム開発・導入においては、複数の配給会社から非本編コンテンツを収集し、CMS経由でFilmarksに登録する基盤を構築し、ユーザーがアプリ内から視聴できる導線を設計しました。
実証実験では、特に以下の点に注力しました。
- 受動的な作品発見の機会創出 動画プレイヤーにおいて縦スワイプによる動画切り替えUIを採用し、ユーザーが受動的に新しい作品を発見できているかを「2つ目動画表示率」と「5つ目動画表示率」という指標を設定して検証しました。
- 探索的視聴への転換の検証 一部のユーザーを対象に「動画タブ表示」のA/Bテストを実施し、従来の「特定の作品を探す視聴」から、縦スワイプで次々と流し見する「探索的視聴」へとユーザー行動が変化するかを検証しました。この変化に伴う平均再生時間の低下や、「観たい(Clip)」数の急増を定量的に測定しました。
また、アンケート調査を通じて、予告・関連動画がテキスト情報では伝わりにくい「作品の雰囲気・世界観」を伝達し、鑑賞のミスマッチ防止や新たな作品との出会いに役立つという、動画コンテンツ独自の価値を深く掘り下げて評価しました。
実証実験の結果
定量的評価
動画登録数は目標を大幅に上回ったものの、動画インプレッション数と2つ目動画表示率は目標に達しませんでした。
12月後半に実施した動画タブの導入により視聴は「目的視聴」から「探索的視聴」へと変化し、作品の発見を示すClip(観たい)数が急増しました。Filmarksアプリ全体への影響は軽微でしたが、作品発見の入り口として有効であることがわかりました。
新作やリバイバル作品の動画が注目され、中小配給会社の作品も多数視聴されました。
定性的評価
アンケートによる調査の結果、全体の満足度は目標に達しなかったものの、予告・関連動画による興味喚起効果に対しては高い評価を得られました。
動画はテキストでは伝わらない「作品の雰囲気・世界観」の伝達に貢献し、鑑賞のミスマッチ防止や新たな作品との出会いに役立ったとの回答が多く得られました。
主な課題として、動画の読み込み速度などのパフォーマンス、自動再生設定などの視聴コントロール性の欠如、コンテンツの網羅性、レコメンド精度の向上が必要であることが挙げられました。
今後の課題
今後の課題として以下の2点が重要だと結論付けました。
- 作品レコメンドモデルの構築 効果的な作品レコメンドモデルを構築することで、ユーザーの興味に合致した動画を適切に推薦し、探索的視聴体験をより効果的にすることが求められます。
- 縦型ショート動画の予告・宣伝動画の充実 本施策では次々と動画をスワイプして新しい作品に出会う体験を目指しましたが、縦型・短尺の動画を十分に収集できない点が課題でした。 縦スワイプによる探索的視聴体験をより効果的にするためには、コンテンツ収集の方法を拡充する必要があります。